
社員の働く環境づくり
2023.06.14
日本では少子高齢化が進むと同時に、がん患者数も増加の一途をたどっています。1975年のデータと比較すると、女性は35-39歳から男性は45-49歳の層から大きく増加し始めています。労働年齢が上昇する日本にとって今後、働く人が病気になった場合の治療と仕事の両立は大きなテーマになるでしょう。
出典:厚生労働省 「がん患者・経験者の治療と仕事の両立支援策の現状について」
がんを診断された社員の就労への影響に関する円グラフをみてみると、5割ほどの方が休職もしくは休業し、2割の方が退職もしくは休業しています。
厚労省:がん患者の就労や就労支援に関する現状
働き方改革の中で病気になった人が治療と仕事の両立の支援の強化が求められていることから、労働基準局安全衛生部が「病気の治療と仕事の両立に関する実態調査」を企業に対して行いました。もし、自社の社員が病気になったしまった場合、仕事と治療の両立をサポートする上で、企業はどんな課題を抱えているのでしょうか?
出典:労働基準局安全衛生部が「病気の治療と仕事の両立に関する実態調査」
この調査結果によると、企業規模によらず「休職者の代替要員・復帰部署の人員増加が難しい」といった人手不足の懸念が一番大きく、中小企業にとって次に大きいのが「休職期間中の給与保証が困難」、「治療と仕事を両立するための制度が不十分でない」といった課題となっています。
東京都では都内中小企業における働きやすい職場環境づくりの取組を促進・応援するために「働きやすい職場環境づくり推進研修会」をオンラインにて行っています。この研修会では「育児と仕事の両立」「介護と仕事の両立」「病気治療と仕事の両立」「非正規労働者の雇用環境整備」の研修が受講できます。
金属製品製造業を営むH社は従業員20名の中小企業で設立50年を迎えました。同社は求人募集をしても応募者が少なく、会社を存続させるためには従業員の確保と技術伝承が重要であるため、人材確保が大きな問題となっていました。そこで同社は従業員には健康で末永く働いてもらいたい、という思いから福利厚生を見直し、制度改正を進めることになりました。
そこで同社では講習会を受講し、知識を取得した従業員が衛生委員となり健康に対する相談の窓口を設置することになりました。また、保健指導を受けても通院せず放置する従業員に対しては会社が診察台を負担することにしたとのこと。実際に肝機能障害と診断された従業員が投薬治療を継続し、正常値に戻った事例もありました。休暇制度では感染症に罹患した場合に社内で感染拡大しないように療養期間だけでなく、治った後2日余分に取得するように特別休暇制度を設けています。さらには、市区町村実施のがん健診の費用補助、人間ドック(従業員と配偶者)費用の50%を補助しています。
さらに従業員の希望を制度に反映させるために、定期的に直接従業員とヒアリングやアンケートを実施しています。そこから得られた意見を新しい制度を検討する際に参考にしているとのこと。今後は病気になってしまっても助け合う環境づくりに力を入れていきたいと担当者は語っています。
そんな同社の取り組みが功を奏し、従業員の定着率が上がっただけでなく人材の募集にも応募が増えてきたと語っています。
働きやすい職場環境づくりに興味がある企業担当者の皆様、ぜひこの機会にオンラインで行われる講習会に参加してみてはいかがでしょうか?受講料は無料で研修最後の確認テストやアンケートを行えば「受講証明書」も発行されます。
⇒「働きやすい職場環境づくり推進研修会」の詳細はこちらからご覧ください
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