社員の働く環境づくり

2023-04-05

介護が必要な従業員のための企業ができる取り組みとは?

日本における要介護者の増加

 高齢化が進む日本では、2025年には総人口に占める65歳以上の割合が30%に、75歳以上の割合も上昇し、65歳以上の高齢者全体の約6割が75歳以上となると 見込まれています。

そのような状況から今後要介護認定者数も上昇していくことが予測されます。要介護者から見た介護者の続柄は25%が配偶者ですが、30%が仕事をしていると考えられる年齢の子、もしくは子の配偶者となっています。仕事と親の介護の両立を迫られる人たちも今後増加していくと考えられます。

出典:内閣府 仕事と介護の両立をめぐる状況

上述したような状況下の中で、総務省の調査によると看護・介護を理由に転職した人が1年間で10万人ほどおり、その7割ほどが女性となっています。労働人口が減少傾向にある日本にとって、貴重な労働力の損失といえます。

出典:総務省 「平成29年就業構造基本調査」

さらに、介護がきっかけに仕事を辞めた理由の詳細を確認すると、仕事との両立が難しい職場だったという理由が男女ともに一番多いことが分かります。その次に介護の影響により心身の健康状態が悪化したため、と回答しています。介護による退職の6割の理由が仕事との両立に関する項目であり、従業員が抱えているこの課題に対して企業のサポートが重要ではないでしょうか?

出典:厚生労働省委託事業「平成24年度仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」

東京都「働きやすい職場環境づくり推進研修会」のご紹介

東京都では都内中小企業における働きやすい職場環境づくりの取組を促進・応援するために「働きやすい職場環境づくり推進研修会」をオンラインにて行っています。この研修会では「育児と仕事の両立」「介護と仕事の両立」「病気治療と仕事の両立」「非正規労働者の雇用環境整備」の研修が受講できます。


従業員が介護と仕事を両立するために企業が行っている取り組み

東京都江東区北砂にあるK社は、通所介護、居宅介護支援、福祉用具貸与・販売を行う介護事業所です。2002年の会社設立当時、従業員は母子家庭の従業員が多かったため、みんなで助け合っていく必要がありました。

従業員にはベテラン社員が多数おり、親の介護を行っている従業員も多いという状況でした。さらに介護職員の新規採用が難しく、既存社員が会社を退職すると仕事が回らなくなってしまうため、会社を辞めずに働けるような環境を整えることを目指したとのことです。

 そこで同社では、以下のような取り組みを行いました。

 まず「働き方検討委員会」を設置し、従業員の代表と役員が就業規則の見直や、働きやすい環境の整備を行いました。また、介護のことについて相談しやすい雰囲気を作るため、従業員同士で話し合ったり、役員にメールで相談することができる環境を整えました。さらに、ケアマネジャーは担当件数や勤務時間を自分で決めることができ、介護職員には半日休暇や短時間勤務の制度を導入するなど、柔軟な働き方が可能になりました。介護の状況に応じて正社員からパート、パートから正社員に変更することもできます。

また、「心のカード」というものを作り従業員同士で互いに尊重し合い、助け合う風土を醸成しています。この取り組みにより、介護職員の人手不足が深刻な中、従業員が介護のために退職することがなくなり、従業員の定着率が極めて高くなったとのこと。

 今後は、利用者の利便性を向上させるために、サービス時間の延長なども検討していく予定とのこと。介護事業に取り組む上で、従業員が働きやすい環境を整えることが重要であると同社は考えており、これからも取り組みを進めていくとしています。


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中小企業ソリューションナビ運営事務局

監修者

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