
社員の働く環境づくり
2023.06.30
厚労省の調査によると正規雇用労働者は2015年から8年ぶりにプラスに転じ、7年連続で増加しています。非正規雇用労働者に関しては増加傾向にあったものの、2020年から減少に転じていることが分かります。2021年の非正規雇用労働者の内訳をみてみると、派遣契約の社員のみ増加し、そのほかの契約形態減少しています。
出典:厚労省 「非正規雇用」の現状と課題
現在、2000万人にものぼる非正規労働者が日本で働いています。今まで非正規労働者と正社員との様々な待遇の格差が問題となっていました。正規労働者と非正規労働者の給与格差はその一例となります。賃金カーブ(時給ベース)のデータをみると、一般労働者(フルタイム)の非正規社員の平均賃金は正規社員の65%程度にとどまっており、大きな格差があります。また、正規社員の賃金が年齢とともに上昇しているのに対し、非正規社員の賃金は年齢による賃金上昇がほとんどありません。
出典:厚労省 「非正規雇用」の現状と課題
そんな格差を是正すべく、さまざまな取り組みや法改正が行われています。例えば企業との間で有期労働契約が更新されて通算5年を超えた場合、労働者の申し込みがあれば無期労働契約に転換される無期転換ルールの制定や、2022年から社会保険適用範囲が広がるなど非正規雇用者にとって働きやすい環境づくりが進んでいます。
さらに、2021年4月から中小企業を含むすべての企業に「同一賃金同一労働」が適用されました。このルールでは同じ労働を行っているのにも関わらず、正社員、非正規社員との間で待遇差を設けることを禁止しています。労働基準法のように罰則があるわけではありませんが行政からの助言、指導、勧告の対象となるリスクが生じます。
このように多くのルールが作られる中、企業のブランドイメージを保つためにも企業側の対応は重要であると言えます。
東京都では都内中小企業における働きやすい職場環境づくりの取組を促進・応援するために「働きやすい職場環境づくり推進研修会」をオンラインにて行っています。この研修会では「育児と仕事の両立」「介護と仕事の両立」「病気治療と仕事の両立」「非正規労働者の雇用環境整備」の研修が受講できます。
従業員100名ほどの製造業を営むA社では10人ほどの非正規労働者を雇用していました。社内では正規労働者と非正規労働者が同一の労働をすることが多発しており、それが非正規労働者の不満につながっていたそうです。
そこで、同社ではそんな非正規労働者の不満を解消し仕事へのモチベーションを高めてもらうべく、新しい評価制度を導入することにしたそうです。その評価制度では雇用形態に関わらずその人の仕事ぶりや能力に応じて賃金に反映する制度です。
この処遇改善に取り組んだおかげで、非正規雇用者のモチベーションがアップし、企業イメージが向上、最終的には人材の定着率が向上したとの事です。
さらに同一労働同一賃金の対応をした企業にはキャリアアップ助成金が国より支給され、中小企業の方が大企業よりも助成額が優遇されます。キャリアアップ助成金には、正社員化コース、障害者正社員化コース、賃金規定等改定コース、賃金規定等共通化コース、賞与・退職金制度導入コース、(選択的適用拡大導入時処遇改善コース)短時間労働者労働時間延長コースといった7コースあり、A社では最大72万円と、非正規労働者二人目から一人当たり2万円ほどの助成金は支給されます。
同一労働同一賃金は労働者にとっても企業にとってもメリットがある仕組みではないでしょうか。
働きやすい職場環境づくりに興味がある企業担当者の皆様、ぜひこの機会にオンラインで行われる講習会に参加してみてはいかがでしょうか?受講料は無料で研修最後の確認テストやアンケートを行えば「受講証明書」も発行されます。
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