
社員の働く環境づくり
2023.04.05
日本では少子高齢化が進むと同時に、がん患者数も増加の一途をたどっています。1975年のデータと比較すると、女性は35-39歳から男性は45-49歳の層から大きく増加し始めています。労働年齢が上昇する日本にとって今後、働く人が病気になった場合の治療と仕事の両立は大きなテーマになるでしょう。
出典:厚生労働省 「がん患者・経験者の治療と仕事の両立支援策の現状について」
がんを診断された社員の就労への影響に関する円グラフをみてみると、5割ほどの方が休職もしくは休業し、2割の方が退職もしくは休業しています。
厚労省:がん患者の就労や就労支援に関する現状
働き方改革の中で病気になった人が治療と仕事の両立の支援の強化が求められていることから、労働基準局安全衛生部が「病気の治療と仕事の両立に関する実態調査」を企業に対して行いました。もし、自社の社員が病気になったしまった場合、仕事と治療の両立をサポートする上で、企業はどんな課題を抱えているのでしょうか?
出典:労働基準局安全衛生部が「病気の治療と仕事の両立に関する実態調査」
この調査結果によると、企業規模によらず「休職者の代替要員・復帰部署の人員増加が難しい」といった人手不足の懸念が一番大きく、中小企業にとって次に大きいのが「休職期間中の給与保証が困難」、「治療と仕事を両立するための制度が不十分でない」といった課題となっています。
東京都では都内中小企業における働きやすい職場環境づくりの取組を促進・応援するために「働きやすい職場環境づくり推進研修会」をオンラインにて行っています。この研修会では「育児と仕事の両立」「介護と仕事の両立」「病気治療と仕事の両立」「非正規労働者の雇用環境整備」の研修が受講できます。
半導体会社であるR社では、がん診断後に依願退職する人が多い背景から社員の仕事と治療をサポートするために両立支援制度を立ち上げました。「早期発見・早期対応」「療養・休職」「復職・治療継続」という3段階に分類され、その段階によって必要な支援を行う部門があります。
「早期発見・早期対応」フェーズでは、がん検診のサポートから診断後の精神的な面談・フォローを行っています。「療養・求職」フェーズでは最大で30か月の傷病による休職が可能。さらには金銭面でのフォローを行い、傷病手当金が月収の7割ほどを支給されるとのことです。その後の「復職・治療継続」フェーズでは両立支援プランの作成を行い、治療計画に合わせて1日2時間あたりの短時間勤務や、1週間に1日の頻度で無給休暇の支給などを対象者からの申し出によって認めています。
特に中小企業にとって休職中の給与保証は難しいという意見も多くありますが、精神的なサポート、長期間の無給での休職は認めるなどさまざまな取り組みがあります。
R社では健康管理室を設置して上記のような支援を行っています。今後、社員の病気の予防に力を入れていきたいと考えていますが、予防に積極的な従業員はそもそも健康への意識が高く、予防に関するフォローは不必要なことが多い傾向があり、逆に健康リスクが高くフォローが必要な人ほど予防に関する面談や研修に心理的なハードルを持っている人が多いとの事です。そのためフォローが必要な従業員が来室すると、産業保健職はなるべく多くの情報提供を心がけますが、一層敬遠されるという悪循環になりがちです。そこで産業保健職側の対応力を上げ、相手の心を掴むやりとりを目指しているそうです。
働きやすい職場環境づくりに興味がある企業担当者の皆様、ぜひこの機会にオンラインで行われる講習会に参加してみてはいかがでしょうか?受講料は無料で研修最後の確認テストやアンケートを行えば「受講証明書」も発行されます。
⇒「働きやすい職場環境づくり推進研修会」の詳細はこちらからご覧ください
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