
社員の働く環境づくり
2023.06.30
企業成長に継続的な人的資源を確保していくのが必須とされる中、特に中小企業の抱える課題で最も深刻なのは人材確保です。少子高齢化により労働の主軸が男性正社員から女性や高齢者、パート従業員、外国人へと多様化していく中で、従来の画一的な制度ではなく従業員の多様性に対応し、柔軟性を持たせる事が今後の日本における企業の成長戦略として重要視され始めています。
毎年、東京都は公共事業の一環として都内の中小企業を対象に働き方改革促進事業を運営しておりますが、本事業への参加を機に、課題解決への第一歩を踏み出したA社のケースをご紹介します。
都内で電気部品製造を行っているA社は従業員20名以下の小さな会社です。そして、現在A社の中でたった1人で事務周りを広く担当しているのが佐藤さん(仮名)です。佐藤さんはA社含めこれまで働いてきた職場では主に経理を長く任されており、A社のお金周りの管理については経営陣からも絶大な信頼を得ています。しかしながら、長年一緒に事務として勤務していた方が昨年冬に退職をしてしまったことがきっかけで、Aさんの業務範囲は経理だけでなく、総務、労務まで広がることとなりました。
Aさんとしても、これまで長く経験のある経理の仕事においてはある程度自信があるものの、総務や労務の業務はこれまでの周辺知識をかき集めた上で細かい点は自分で調べ確認をしながら1つ1つ覚えていくしか手はなく、実務経験はほぼゼロに等しい状態で日々の業務を対応していました。就業規則など会社自体の規定や、従業員の給与に直結する残業代や休日出勤のカウントなど企業経営上の人材マネジメントの根幹ともなる部分を相談役もなしに対応することに常に不安があったといいます。
また、近年A社において20~30代の若い世代の退職率の高まりを感じていた佐藤さんは、今後A社を存続、成長させていくためにも今働いている従業員、そして今後採用する従業員に長くA社で働いてもらう為に「より長く働きやすい職場にする」必要があることも、課題として捉えていました。例えば2023年までに段階的に施行される育児・介護休業法令に関して整備をすべき点や、他社がどのように自社で働き方改革という名のもと社内制度の整備を進めているのかという点。それらを1つ1つ明確にし、専門家から正しいアドバイスを受けながらA社に合った形で少しずつで整備していきたいと考えており、その中で偶然東京都が公共事業の一環として運営する働き方改革促進事業を見つけました。
この事業は主に企業担当者の意識改革(動機づけ)を目的に、コロナ後の成長戦略を見据えた働き方改革の推進をサポートする事業です。
具体的には「相談窓口」「16種類の無料講座」「専門家派遣」の3つの形態で中小企業の働き方改革の社内推進をサポートしており、ちょっとした疑問から、具体的な相談まで、すべて無料で利用できることが魅力です。
特に電話やメールで気軽に相談できる「相談窓口」は佐藤さんも事業への参加期間中は頻度高く利用したそうで、「自分の知識が浅い分野を自分だけで抱え込んで悩む前に、外部のプロの力を借り素早く処理できるようになったことが本当に心強いです」と、佐藤さんをはじめ一人で事務周りの業務を担当している中小企業の担当者には好評なポイントのようです。
また、佐藤さんは本事業の「集中講座」も積極的に利用し、「男性育休の活用」や「育児・介護休業法」などについて知見を深めたり、働きがい向上に向けた他社の実践事例を知識として吸収し見聞を広げたりと、今後A社でも労働力を継続的に確保する為に取り入れられそうなものはないか効果的な情報収集ができたといいます。
働き方改革と一口に言っても「労働環境の改善」、「テレワークの拡大」、「女性就労機会の促進」など多岐にわたり、解決策に関しても必ずしも1つではありません。
VUCA時代の持続的な成長戦略として事業継続や生産性向上といった「本質的な働き方改革」に取り組むためにも、まずは自社の課題を整理・分析し、専門家のアドバイスを受けながら自社にあった形で推進していくことがベストです。
本事業を現状お持ちの課題を解決するきっかけの1つとして有効活用してみてはいかがでしょうか?
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