
助成金/補助金関連
2022.12.05
自社で補助金を選択する際に、どこを一番重視していますか?
・補助金額
・補助率
・申請締切日
・補助対象範囲
おそらくこうした部分を最初にチェックしている方が多いのではないでしょうか。
もちろんこれらの項目の確認は大切です。しかし、いざ申請書を書き始めてみると、多くの方がつまずく部分があります。それが“補助対象期間”です。この補助対象期間には落とし穴が隠されていますので、今回はその注意点についてご説明いたします。
各補助金の公募要領では、補助金を活用している(またはこれから活用を予定している)事業のことを「補助事業」という名前で呼ぶことがありますが、この補助事業の“開始日”と“完了日”の認識がズレてしまっていることが多いので、要注意です。
申請する企業からすれば、補助事業の開始日と言われればこんな想像するのではないでしょうか。
“補助金を活用して新しく導入した設備で作った製品が完成して、販売を開始する日”
事業が開始するということは、営業活動のスタートラインで売上が立つタイミングと考えることが一般的かとは思いますが、“補助事業”の場合はそうではありません。
この名称は補助金の出し手(国や自治体)側から見て“補助する事業”という意味合いが強いので、事業開始日とは“補助金の交付を決定した日”を指します。
一部例外的に交付が決定する日より早く事業開始日を置ける(遡及という表現で公募要領には記載される)補助金もありますが、原則は申請が採択され、無事に交付が決定した日が事業開始日となります。
それでは補助事業が完了する日はいつになるのかというと、以下の通りです。
“契約した製品やサービスの納品や支払が完了した日。つまり契約が全て満了した日”
一概に上記の説明のみでは網羅はできないのですが、「これからいよいよ製造するぞ(提供するぞ)」っていうタイミングこそが、補助事業完了日です。補助事業の完了日が実際の事業のスタートという定義を間違えると時間軸が大幅にずれてしまいますので、注意しましょう。
ものづくり補助金では、このような表現で補助事業の実施期間について記載されています。
発注〜支出の全てを期間内に終えることが「申請要件」の一番上に書かれているのですが、この申請要件は意外と軽視されがちです。
わざわざ太文字アンダーラインで“期間延長はしない“と書くくらい、採択後の計画変更が多いと思われますが、実は、ここは本当に注意しなければならない点です。
補助金は後払いですから、すべて先にお金を支払ってしまっているにも関わらず、期間内に契約事項を全て終わらすことができないと、計画不備とされて補助金を受け取れなくなってしまいます。こうなってしまうと、不採択以上に経営リスクは増大します。
補助対象期間と同じくらい多い落とし穴が、「◯◯◯を導入したいから、補助金を取りたい」という“一点買い”です。
高額な設備を補助金で安く導入したいということ自体は正しい使い方なのですが、事業計画を丁寧に作れば作るほど、それ以外に必要な経費がありそうだと気がつくものです。
・申請時に記載されていること
・補助対象期間に取り交わされ、実施(導入)されていること
上記の条件が揃って「補助対象経費」として認められるため、もし後からあれもこれも補助金の経費にしたいと思っても認められない可能性があります。仮に認められる内容だったとしても修正申告の事務コストは発生します。
それゆえ、できるだけ先を見通して必要経費をリストアップし、申請時に経費として事前に組み込んでおくことが大切です。
◯◯◯の金額だけで補助金額の上限を超えているくらい高額なものであれば、他の経費を入れても入れなくても交付される金額は同じですから、他の経費を無理して計上する必要はありません。しかし、上限まで余裕があるのに、購入したい“一点“しか経費に組み込んでいない申請書が多いのも実情です。
事業を進める上で、本当に◯◯◯だけで良いのか、販路開拓や人材の確保のために既存業務の効率化など、事業を成功に導くためにはやらなければいけないことはあるのではないか、俯瞰して考える必要があります。記載した通り、補助事業が完了してからが本当の勝負ですから。
こうした将来を見据えた計画は、自分一人ではなかなか考えが及ばないこともあると思います。
こうした時にこそ、公的支援をうまく活用してアドバイスをもらうことをお勧めします。
公募要領を理解して必要な様式を揃えることは事務作業だけでも大変手間のかかる作業です。中小企業ソリューションナビで紹介している「Scalar Self」では事業計画書を作成する第一歩を踏み出せるソリューションとして開発しています。
最初の一歩が遠くなりがちな補助金・助成金の申請書作成ですが、0→1をScalar Selfで、1→100に事業計画をブラッシュアップさせるのは商工会・商工会議所やハローワーク等の公的支援制度を活用し、採択を目的とせず、採択後の事業活動の成功を目指しましょう。
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監修者
中小企業診断士
Scalar株式会社 取締役