
助成金/補助金関連
2022.12.05
公的な補助金・助成金は「国」「都道府県」「市区町村」各々が、毎年法律や条例を基に議会で審議されて予算化され、一つ一つに事業名が付き、その事業の一環として補助金が交付されます。
日本の国家予算は経済対策や感染症対策、防災対策など非常に多岐にわたる課題に対して、所管する省庁に予算が割り振られていきます。例えば、全国的に人気のある補助金の一つである“ものづくり補助金”は「中小企業生産性革命推進事業」という名称の事業の中に含まれており、この事業全体の予算規模は約2,000億円です。そのうちの約1/2弱程度がものづくり補助金の予算に使われている、というような下図のイメージになります。
引用:令和3年度一般会計補正予算(第1号)
少し補助金の探し方の話とはズレますが、ものづくり補助金が多くの企業に使われるようになった一つの要因として、
① 通年で複数回の応募機会
② 年度を跨いだ補助対象期間
この二つが大きく寄与していると思われます。
行政は単年度ごとの予算化が一般的で、かつ毎年政策を見直すため、今年度ある補助金が来年度も絶対にある、という確約はされません。補助金事務局に「来年もありますか?」と聞いても、「現時点ではわかりません。」と回答されることがほとんどでしょう。
そのような中、ものづくり補助金は毎年実施されている補助金ですので中期的な経営戦略を考えて申請時期を検討できる数少ない補助金です。
※但し、申請要件や加点対象は毎年見直しが入るため、申請回ごとに発表される公募要領を確認することはお忘れないように。
さて、ものづくり補助金をはじめ経済産業省だけでも非常に多くの補助金・助成金が毎年交付され、内容が見直され、そして消えていきます。それが経済産業省だけではなく厚生労働省や環境省、さらには都道府県、市区町村単位ですら存在する分けですから、常に最新の情報をキャッチアップすることは容易ではありません。
以上のように、一過性が強く各省庁、全国に散らばっている補助金情報を取りまとめることは容易ではありませんので、そうした情報を調査し提供することを生業とするサービス事業者も存在します。もちろんビジネスですので有料ですが、探す時間を短縮できるという点でこうしたサービスを検討されることも一つとは思います。
ただ、国も補助金が探しにくいことは課題と認識しており、中小企業庁が提供するポータルサイト“ミラサポPLUS”では全国の補助金情報を取りまとめて情報を提供してくれています。
引用:ミラサポPLUS 公式サイト
このサイト内の「よく見られている補助金・給付金」をクリックすると
上記のように経済産業省の3大補助金が紹介されています。それくらい人気があるということですね。
さらに下段に進むと、
補助金・給付金検索が表示されます。ここから全国の補助金を検索することが可能で、当記事を執筆した2022年10月時点では331件の補助金が紹介されています。
その他、これまた経済産業省が公開した補助金の電子申請システム“jGrants(ジェイグランツ)”でも、掲載されている補助金の検索が可能です。
引用:jGrants公式サイト
こちらは電子申請に対応した補助金が紹介されているということもあって、ミラサポPLUSより少ない138件の掲載となっておりますが、こちらにしか掲載されていない補助金も複数あります。ちなみに東京都の中小企業向け補助金はjGrantsの方が断然多いです。
是非、補助金を探す際には上記二つのWEBサイトを確認してみてください。おすすめは事業所の登記住所の都道府県、市区町村等の「エリア検索」と、販路開拓や開発といった「テーマ別検索」です。
注意点として、エリア検索以外でのキーワード検索はあまりお勧めしません。ある程度はキーワードを拾ってくれますが、周辺キーワードは拾ってくれませんので、例えばミラサポPLUSで「新製品開発」で検索しても1件もヒットしません。(テーマ別検索から“設備投資”などで検索した方が早いです。)
ミラサポPLUSでは「お困りごと」、jGrantsでは「テーマから探す」という項目がありますので、該当するチェックボックスにチェックを入れて絞っていきましょう。
引用:jGrants HP
上記二つのWEBサイトにも掲載されていない各省庁、自治体の補助金もまだまだたくさんあります。全てを網羅的に紹介しているWEBサイトは現時点では残念ながらありませんが、だからこそ経営者の右腕として、最適な補助金を見つけ出し、紹介し、申請を補助することも士業の大切な仕事となっています。
自社に最適な方法を選んで、是非補助金申請にチャレンジしてみましょう。
監修者
中小企業診断士
Scalar株式会社 取締役