人材採用

2023-01-27

採用と人材育成の両立がかなう特別ルートとは

離職の大きな原因となるミスマッチ

人材確保は中長期的な視点で考えると企業の存続にとって非常に重要です。さらに、コストをかけて採用にこぎつけても早期退職されては企業にとっては損失になります。独立行政法人の調査によると初職が正社員であった離職者の退職理由の上位にくるのが、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(29.2%)、「人間関係がよくなかった」(22.7%)「仕事が自分に合わない」(21.8%)であることが分かります。

資料:若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状 第6章 早期離職とその後の就業状況  独立行政法人労働政策研究・研修機構

この調査から分かるように、初職退職の大きな要因として、人間関係や仕事内容のミスマッチの割合が大きいことがわかります。

中小企業ならではの採用課題

中小企業の採用手段についての調査結果をみると、ハローワークと知人・友人紹介のリファラル採用が多いことが分かります。大企業と比べて中小企業では採用コストが限られていることが、この結果の要因のひとつだと推測できます。

さらに人材確保手段ごとの課題の調査結果をみてみます。


この調査結果によると、一番よく利用されているハローワークに関しては人材の数、人材の質、人材の定着率について課題が多いことが分かります。知人・友人の採用に関しては人材の質や、定着率に課題は少ないものの、数が少ないという結果になっています。さらに人材紹介会社の仲介や、就職ポータルサイトに関してはコストが高いことが大きな課題であることが分かります。

雇用創出安定化支援事業とは

東京都が派遣人件費等を全額負担することにより、都内の企業を活性化することを目的とした事業です。

令和3年から事業開始した雇用創出安定化支援事業は、現在に至るまで約3,000社の中小企業と、約5,000名の求職者が参画した実績があります。本事業は労働者派遣のしくみを活用し、求職者が派遣社員として働きながら、複数の業種や職種を経験し、正社員としての就職を後押ししています。

派遣就業期間は最長2か月とし、その間に発生する時給や通勤交通費は東京都が全額負担します。派遣社員を正社員として採用いただいた際の紹介料等の請求はございません。キャリアアドバイザーが、派遣就業の開始から正社員採用までのサポートを行います。


アウトソーシング事業の人材不足

K社は人材のアウトソーシング事業を行う企業です。主に大手通信会社、大手広告代理店、情報通信設備建設会社などの取引先企業より、電話対応、書類作成、入力作業などのバックオフィス業務の一部を委託を受け、委託先企業にK社の社員が常駐しています。

委託先企業の案件増加に伴い、採用枠を広げ採用活動を行う中で雇用創出・安定化支援事業への参画を決めました。委託先での業務はフォーマットへの入力作業や取次程度の電話対応など、オフィスワークが未経験の方でも取り組みやすい業務だったため、「未経験のオフィスワークに挑戦してみたい」という意欲のある若手人材のエントリーが多く集まりました。


資格を取得し、キャリアチェンジへ一歩踏み出す

同社は2か月間の派遣期間を使って、受け入れた派遣社員に対し、Word・Excel・PowerPointなどの基本的なオフィススキルを身につけるための研修カリキュラムを設計し、専属のトレーナーが指導を行いました。

それにより受け入れた派遣社員23名のうち約9割が派遣期間中にMOS(Excel/一般)の資格取得をすることができ、資格を取得できた人材は期間の満了を待たずに正社員へと採用され委託先へと配属されることとなりました。

さらに配属先は、本人の希望とスキルや人柄、通勤距離の兼ね合いまでを考慮したうえで決定し、事前に配属先を見学することもできたため、派遣就業から正社員採用までの流れが非常にスムーズでした。

派遣期間を活用し社員の教育に力を入れる

基本的に、バックオフィス業務など事務職の求人は年間を通して動いており、急ぎで実務経験を持つ人材の募集を行ったとしても、すぐに採用ができるとは限らず、途方に暮れている中小企業の採用担当者も少なくはありません。

本事業の2か月間の派遣期間を通して、Y社の採用担当者は「資格の取得など、ある程度のスキルを身に着けたうえで採用した人材は、その後の定着率も高いと感じる。」と感想を述べました。また、求職者は「資格の取得に対する不安はあったが、手厚いサポートのおかげで、配属先でも安心して業務に取り組むことができている。」と満足度の高いコメントをしています。

技術者候補を獲得する新たな採用ルート

採用活動は、人事部などの担当部署だけで解決できる問題ではありません。本事業に参画し、社員の結束を高めつつ、採用課題へ取り組んでみてはいかがでしょうか。

⇒「雇用創出・安定化支援事業」の参加詳細はこちら


中小企業ソリューションナビ運営事務局

監修者

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