
人材採用
2023.06.16
歯止めがかからない少子高齢化の中で、若年労働力人口(15~34歳)の減少が顕著です。厚労省の調査によると若年労働力人口は、2007年には2,035万人だったものが、2017年で1,711万人となっており、10年間で約320万人減少しました。
そんな人手不足が多くの業界で人手不足が状態化する中で、65歳以上の高齢者労働力の重要性が高まっています。内閣府の高齢者の就業に関する調査によると、労働力人口に占める65歳以上の割合は年々上昇していることが分かります。 出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
現在働く60歳以上の働いている男女に対する調査によると、「働けるうちはいつまでも」と回答した人が4割にも上り、70歳くらいまで働きたいと答えた人を含めると実に8割に近い人たちが高い就業意欲を持っていることが分かります。今後人手不足が問題となる企業にとって、社内で必要な労働力を彼らがしっかりと補うことができれば企業の成長を促すことができるのではないでしょうか?
出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
しかし、企業にとって特に高齢者を新規採用する際の懸念点となるのが彼らの能力があるのかどうかという点だと思います。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が行った労働者が職務をどれだけ上手にできたかをしめす指標である「労働適応能力指数」に関する調査を行いました。Poor 「劣る」、moderate「普通」、good「良い」、excellent「優れている」という4種類の評価軸で調査が行われ、goodとexcellentという指標は上昇していることが分かります。この調査の結果から高齢者の職務を行う能力は30代、40代と比較しても大差がないと言えます。
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「70歳雇用に向けた高齢者の体力などに関する調査研究結果」
東京都ではシニアのセカンドキャリアのための学習の場として「東京セカンドキャリア塾」を開催しています。
「東京セカンドキャリア塾」では中高齢者、シニアの求職者に対して、さまざまなカリキュラムの研修を受講してもらい再就職へつなげる事業となっています。
また、シニアと中高年者の雇用を検討している企業向けに対面形式の講座やオンライン形式の講座を開設しています。企業向けのオンライン講座ではシニアを雇用する際のポイントやシニアの多様な働き方について学べます。受講対象は「55歳以上の中高年者を雇用する都内企業の人事担当者様」です。
またこの学びの場だけではなく、東京都では65歳以上のシニアの雇用を促進・支援するための事業「東京キャリア・トライアル65」も実施しています。
老舗の日本食レストランを営むM社は東京を中心に約20店舗を展開しています。同社が営むレストランではそれぞれの店舗で予約を受け付けていましたが、予約センターを立ち上げ、予約を一元化することで店舗での業務量を減らすことになりました。その予約センターで働く人材を募集していたタイミングで、東京都の事業を通じて出会ったシニア人材を採用することになりました。
この業務では常連様からご新規のお客様までさまざまな人と直接やり取りをするので、落ち着いてコミュニケーションができることが求められます。また、予約の受付だけでなくクレーム対応や他の部署が答えるような内容のやり取りが発生するということもあり、幅広い知識も必要です。
採用されたシニア人材のAさんは、接客経験はなかったものの落ち着いた雰囲気と丁寧な言葉使いができる方だったとの事です。Aさんは長年の社会経験を積んでいるので、その経験も活かして業務にあたっているとのことでした。
Aさんは未経験の業務内容でありながら、新しいことを体験できることがモチベーションになっており、また新しい環境で新しい出会いがあることもお仕事をする上で満足につながっているとのことでした。
同社の担当者はAさんのお客様にたいする落ち着いた対応や、明るい声のトーンが電話先の相手に安心感を与えているとのことで、Aさんを高く評価していました。
シニア層には経験豊富で優秀な人材がたくさんいます。まだまだ元気で働く意欲あるシニア層を活用することで企業の人材不足の解消だけではなく、シニア層の豊富な知識や経験・熟練技術などを社内に広められるかもしれません。若い従業員の育成につながったケースも多いようです。まずは「シニア活用のポイントを学びたい」という企業様は「セカンドキャリア塾」をご活用してみてはいかがでしょうか?
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