人材採用

2023-01-19

人材不足に悩むモノづくり企業が利用した採用ルートとは

ものづくり産業の人材不足

近年、製造業は若年者の入職者の増加が鈍い一方で、高齢化が進行しています。製造業における新規学卒社の製造業への入職割合をみてみると、全体を通して減少傾向にあることが分かります。しかし、その中でも企業規模が300人以上の企業は前年と比較して24.4%増加しているのに対し、300人未満の企業は35.7%減少しており、企業規模における差が拡大していることが分かります。優れた技術を持っている中小企業も多い中、人手不足が原因となるのは我が国にとっても大きな損失です。出典:経済産業省 「ものづくり人材の確保と育成」

製造業が敬遠される理由の一つとしてネガティブなイメージが挙げられます。製造業に対する「きつい・汚い・危険」といった3Kのイメージを持つ人も一定数いると考えられます。

このような背景から、「希望する人材の応募が無い」「面接や内定を辞退されてしまう」「社員が定着しない」「社員の高齢化」「熟練技術者への依存」といった製造業ならではの課題を抱えている中小企業も数多くあるのではないでしょうか?

 

多様な人材を活かす「ものづくり産業人材確保支援事業」とは

産業の空洞化が叫ばれて久しいですが、日本は現在も、ものづくりにおいて、ノウハウ・インフラ・材料がそろっている「ものづくり大国」といえます。

「ものづくり産業人材確保支援事業」は、東京都が派遣人件費等を全額負担することにより、都内の企業を活性化することを目的とした事業です。本事業は労働者派遣のしくみを活用し、求職者が派遣社員として働きながら、複数の業種や職種を経験し、正社員としての就職を後押ししています。

派遣就業期間は最長1か月とし、その間に発生する時給や通勤交通費は東京都が全額負担します。派遣社員を正社員として採用いただいた際の紹介料等の請求はございません。キャリアアドバイザーが、派遣就業の開始から正社員採用までのサポートを行います。

事業活用の「4つのメリット」

費用の負担がゼロ

参加企業の事業にかかわる費用はゼロ

入社後のミスマッチを防ぐ

派遣や実習期間中に求職者の適正を判断することが可能

個別就活サポートあり

現場実習により高齢者や女性の意欲が向上。企業と求職者の距離が縮まり多様な人材活用の相乗効果が高まる。

キャリア研修も不要

専門家への相談、管理職・社員向け個社別研修や集合研修により採用・人材育成の課題解決を支援。

⇒「ものづくり産業人材確保支援事業」の詳細はこちらからご覧ください。

ものづくり技術を受け継ぐ人材との出会い

都内で監視カメラの製造を行うA社では、多くの製造業企業と同様に人材不足に悩まされていました。同社は映像と通信に強みを持ち、工場や作業現場など産業の領域で使用する監視カメラの製造・販売と、それに伴うインフラシステムの構築を行っています。高い技術力を誇る同社ですが、エンジニアの高齢化にともない将来的に技術を引き継いでもらうべく、新たな人材をもとめていました。

そんな課題がある中で本事業を知り、この事業は3年間で120人のものづくり人財が派遣就業した実績があることと、1か月間現場実習の期間が設けられていることから入社後のミスマッチを減らせると考え、本事業へ参画することを決意しました。

事業参画を通して、電気機器メーカーで15年ほど営業職に就いていた40代男性のBさんを派遣社員として採用することになりました。

また、Bさんは工芸系の大学で画像工学を学んでおり、ものづくりに対して強い興味がありました。営業の現場でマネージャーをしていた経験から、A社の営業担当者ともうまく意思疎通がとれ、仕事ぶりも丁寧だったことから多くの社員から高評価を得ることができました。

同社では風通しのよい雰囲気を大切にすることで、体を使うような現場仕事でも高い定着率があるとのことでした。1か月間の派遣就業を終えたBさんの強い希望で、同社はBさんを正社員として採用することに決めました。

同社の担当者は、やはり実習期間の間に仕事を体験できることが最大のメリットであったと語っています。製造業の仕事ではものづくりが好きであることが、仕事を長く続ける上で非常に大切な要素であり、求職者自身が実習期間を通してそれを考えられる時間があることは、お互いにとって大きな利点であると語っています。

新しい採用ルートを利用して事業を活性化

製造業の技術を守ることは日本の経済にとっても重要です。この事業はものづくり企業を対象としているため、求職者も、ものづくりに興味がある割合が高いと言えます。

以上のように、「ものづくり産業人材確保支援事業」を通じて、人材採用することはものづくり系中小企業にとって多くのメリットがあります。人材採用の方法のひとつとして、本事業を活用してみてはいかがでしょうか?

⇒「ものづくり産業人材確保支援事業」の詳細はこちらからご覧ください。

中小企業ソリューションナビ運営事務局

監修者

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