
人材採用
2023.05.12
人材確保は中長期的な視点で考えると企業の存続にとって非常に重要です。さらに、コストをかけて採用にこぎつけても早期退職されては企業にとっては損失になります。独立行政法人の調査によると初職が正社員であった離職者の退職理由の上位にくるのが、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(29.2%)、「人間関係がよくなかった」(22.7%)「仕事が自分に合わない」(21.8%)であることが分かります。
資料:若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状 第6章 早期離職とその後の就業状況 独立行政法人労働政策研究・研修機構
この調査から分かるように、初職退職の大きな要因として、人間関係や仕事内容のミスマッチの割合が大きいことがわかります。
中小企業の採用手段についての調査結果をみると、ハローワークと知人・友人紹介のリファラル採用が多いことが分かります。大企業と比べて中小企業では採用コストが限られていることが、この結果の要因のひとつだと推測できます。
さらに人材確保手段ごとの課題の調査結果をみてみます。
この調査結果によると、一番よく利用されているハローワークに関しては人材の数、人材の質、人材の定着率について課題が多いことが分かります。知人・友人の採用に関しては人材の質や、定着率に課題は少ないものの、数が少ないという結果になっています。さらに人材紹介会社の仲介や、就職ポータルサイトに関してはコストが高いことが大きな課題であることが分かります。
東京都が派遣人件費等を全額負担することにより、都内の企業を活性化することを目的とした事業です。
令和3年から事業開始した雇用創出安定化支援事業は、現在に至るまで約3,000社の中小企業と、約5,000名の求職者が参画した実績があります。本事業は労働者派遣のしくみを活用し、求職者が派遣社員として働きながら、複数の業種や職種を経験し、正社員としての就職を後押ししています。
派遣就業期間は最長2か月とし、その間に発生する時給や通勤交通費は東京都が全額負担します。派遣社員を正社員として採用いただいた際の紹介料等の請求はございません。キャリアアドバイザーが、派遣就業の開始から正社員採用までのサポートを行います。
Y社は国内及び海外メーカーの医療機器を取扱う商社です。医療機器の輸入や販売だけでなく、医療機器のメンテナンスも行っています。数多くの優れた医療機器の国内輸入や、高い技術力を持つ国内の企業との連携により、機器を開発するなど、日本の医療の進歩と発展に大きく貢献しています。
同社のメンテナンス事業部では、医療現場のニーズに応え、手術用のはさみやピンセットの研磨、持針器のチップ交換などを行っていましたが、ベテラン社員の定年退職により、事業部の存続の危機に見舞われました。
同社はそのベテラン社員の代わりとなる社員の採用活動を行いましたが、フィットする人材と巡り合えず、採用活動は困難を極めました。
そんな同社は商工会議所の紹介による雇用創出安定化支援事業への参画を通し、若手人材であるAさんを派遣社員として採用することになりました。Aさんはメンテナンス職こそ未経験でしたが、長年プラモデルや模型の製作を趣味とし、精緻かつ地道な作業を得意とする人材でした。そんなAさんはほどなくして、医療従事者が安心して使用できるよう詳細な点検と精巧な作業を要するメンテナンス業務に、馴染むことができました。
そして2か月後、Aさんは飲み込みのはやさと、丁寧かつ真面目な人柄が現場社員から高評価を得て、派遣終了と同時に正社員として採用されました。
メンテナンス職などのいわゆる「現場作業」の採用市場は、常に人材不足に悩まされています。ひとたび採用が叶ったとしても、「想像していた業務と違った」や「業務に慣れない」などの理由で離職してしまう社員も後を絶たず、途方に暮れている中小企業の採用担当者も少なくはありません。
本事業の2か月間の派遣期間を通して、Y社の採用担当者は「現場の社員と一緒に業務に取り組むことで、現場の納得感も得られて採用の決断ができた。」と感想を述べました。また、求職者は「メンテナンス職は未経験だったため、初めは不安な気持ちが勝っていたが、2か月間をトライアルの期間として捉えると、良い意味でハードルが下がり、楽しみつつ業務に取り組むことができた」と満足度の高いコメントをしています。
採用活動は、人事部などの担当部署だけで解決できる問題ではありません。本事業に参画し、社員の結束を高めつつ、採用課題へ取り組んでみてはいかがでしょうか。
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