
人材採用
2023.05.12
昨今、IT人材の不足が多くの企業で深刻な課題となっています。経済産業省が発行しているIT人材白書2020によると、日本のIT人材の不足人材数は2030年に約45万人(中位シナリオでの数値)に達する見込みです。この背景には、IT技術の目覚ましい進展やコロナ禍によって加速した企業のDX化、テレワーク推進がある一方で、若年労働人口の減少などの影響が要因として挙げられます。
出典:経済産業省「IT人材白書2020」
このような背景からIT人材を「求人しているが若手の人材がとれない」、「せっかく採用できても定着率が低い」、「派遣や人材紹介はコストがかかってしまう」といった課題を抱えた中小企業も数多くいるのではないでしょうか?
東京都では、デジタルの分野において実践的なスキルが習得できる職業訓練をし、企業への就職支援を行う「デジタル人材育成支援事業」を実施しています。
「IT系一般人材養成研修」でビジネスパーソンの土台となる力を身につけた後、選択コースとして、「プログラミングコース」、「ITインフラコース」、「アプリケーション開発コース」「ITインフラ・クラウドコース」に分かれて、約2~3か月の職業訓練を行います。そして、コースを修了した求職者を無料でご紹介するという事業になっています。
都内のIT人材派遣とコンサルティングを営むH社は即戦力となる中途採用のみを行ってきました。ところが、中途採用を経験者に絞ることで社員の年齢層が高くなってしまうことが課題となっていました。そこで、若手社員を増やすために未経験者でも若手人材であれば採用するという方針としたそうです。しかし、H社は今まで経験者採用しか行ってこなかったため、新卒人材を採用しても教育体制がととのっていないということ新たな課題となっていました。
H社は上述したような課題を抱える中で、「デジタル人材育成支援事業」のことを知ったとのことです。この事業の求職者への研修内容には技術スキルのみならずIT業界の全体像や情報セキュリティ、そしてコミュニケーションに関することも含まれているため、IT人材として必要なビジネススキルも習得できていると感じたことから事業への登録を決めたとのことです。また、この事業に参加できる求職者が35歳以下に限定されているため、確実に若手人材に出会えることも魅力に感じたそうです。
そして同社は研修を終えた求職者と面接を行い、明るく真面目そうな印象を受けたAさんを採用することになりました。
採用後、Aさんは先輩の社員とともに現場に派遣されて業務をしています。Aさんの仕事ぶりは経験者のエンジニアと比較するとまだまだ未熟なところはあり、ある程度は先輩からのフォローが必要となっているとのことです。しかし、研修で基礎を習得しているので完全未経験者よりも飲み込みが早く、スムーズに業務を飲み込むことができているそうです。
同社の採用担当者は長期的な視点を持って未経験人材の採用を決断したため、Aさんに対しても5年後にプロジェクトを引っ張っていけるような人材になること期待しているそうです。Aさんも初めての現場で分からないことも多くあるようですが、積極的に先輩エンジニアに質問して解決を図っており、自走できるエンジニアにむけて努力をしているとのことでした。
この事業では参加者に対してITの技術スキルのみならず、就職後も幅広く末永く働いていくための土台となる「現場力」を身につけるための研修を提供しています。年齢も35歳以下を対象としており、比較的若手の人材となっています。デジタル人材確保が進まないと悩んでいる担当者様、こちらの事業を活用してみてはいかがでしょうか?
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