
人材採用
2023.06.16
昨今、IT人材の不足が多くの企業で深刻な課題となっています。経済産業省が発行しているIT人材白書2020によると、日本のIT人材の不足人材数は2030年に約45万人(中位シナリオでの数値)に達する見込みです。この背景には、IT技術の目覚ましい進展やコロナ禍によって加速した企業のDX化、テレワーク推進がある一方で、若年労働人口の減少などの影響が要因として挙げられます。
出典:経済産業省「IT人材白書2020」
このような背景からIT人材を「求人しているが若手の人材がとれない」、「せっかく採用できても定着率が低い」、「派遣や人材紹介はコストがかかってしまう」といった課題を抱えた中小企業も数多くいるのではないでしょうか?
東京都では、デジタルの分野において実践的なスキルが習得できる職業訓練をし、企業への就職支援を行う「デジタル人材育成支援事業」を実施しています。
「IT系一般人材養成研修」でビジネスパーソンの土台となる力を身につけた後、選択コースとして、「プログラミングコース」、「ITインフラコース」、「アプリケーション開発コース」「ITインフラ・クラウドコース」に分かれて、約2~3か月の職業訓練を行います。そして、コースを修了した求職者を無料でご紹介するという事業になっています。
都内で技術系の人材派遣から業務請負まで行うT社は、採用にそこまで予算をかけられないという課題を持っていました。
さらに、エンジニア不足が叫ばれる現代のソフトウェア市場ではそもそもエンジニアの獲得が難しいという背景もあります。特に理系出身者となるとさらに少なくなり、この状況が続くと理系以外の未経験者から採用する必要がでてきます。しかし、IT未経験者を採用することは後々エンジニアに向いていない等の理由で早期退職につながるなど、企業にとってはリスクとなることが懸念点としてあったとのことです。
「デジタル人材育成支援事業」に参加する求職者は上述したように2か月間に渡るエンジニアの研修を終えたのちに正社員として働ける企業を探します。もし、エージェント経由で採用すると年収に対する比率でコストがかかりますが、こちらの事業では無料でその求職者を採用できるといった利点もあり、T社は同事業に登録して面接で求職者に会ってみようと考えたそうです。
T社が採用したい人物像として、できないことを言い訳するのではなくそれを素直に受けとめられる人、また新しい技術に興味があり、学び続けられる人が良いと語っています。
T社は求職者であるAさんとの面接を経て、その素直な性格からエンジニアの素質があるのではと考え、採用したとのことでした。入社後のT社の独自研修では過去についていくことができない社員もいた中で、Aさんは最後までやり遂げることができたとのこと。そんな結果から「デジタル人材育成支援事業」で研修を終えた求職者はエンジニアとしての素質があるのではと考えるようになったそうです。
さらに、エンジニアは客先に常駐することもあるためコードをかける能力だけでなくコミュニケーション能力も必要です。現場でしっかりと報連相ができることはクライアントからの信頼につながるためです。Aさんも同社の研修を終えて現場へ配属されましたが、円滑にクライアントとコミュニケーションをとっており、助かっているとのことです。
T社はエンジニアが不足している社会の中で、未経験の人でもエンジニアになれる機会を提供している同事業は社会的意義が高いとも感じており、今後もエンジニア採用を行っていきたいと考えているとの事です。
この事業では参加者に対してITの技術スキルのみならず、就職後も幅広く末永く働いていくための土台となる「現場力」を身につけるための研修を提供しています。年齢も35歳以下を対象としており、比較的若手の人材となっています。デジタル人材確保が進まないと悩んでいる担当者様、こちらの事業を活用してみてはいかがでしょうか?
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