
人材採用
2023.06.16
離職の大きな原因となるミスマッチ
人材確保は中長期的な視点で考えると企業の存続にとって非常に重要です。さらに、コストをかけて採用にこぎつけても早期退職されては企業にとっては損失になります。
独立行政法人の調査によると初職が正社員であった離職者の退職理由の上位にくるのが、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(29.2%)、「人間関係がよくなかった」(22.7%)「仕事が自分に合わない」(21.8%)であることが分かります。
若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状 第6章 早期離職とその後の就業状況|独立行政法人労働政策研究・研修機構
この調査から分かるように、初職退職の大きな要因として、人間関係や仕事内容のミスマッチの割合が大きいことがわかります。
中小企業の採用手段についての調査結果をみると、ハローワークと知人・友人紹介のリファラル採用が多いことが分かります。大企業と比べて中小企業では採用コストが限られていることが、この結果の要因のひとつだと推測できます。
出典:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」
さらに人材確保手段ごとの課題の調査結果をみてみます。
出典:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」
この調査結果によると、一番よく利用されているハローワークに関しては人材の数、人材の質、人材の定着率について課題が多いことが分かります。知人・友人の採用に関しては人材の質や、定着率に課題は少ないものの、数がすくないという結果になっています。さらに人材紹介会社の仲介や、就職ポータルサイトに関してはコストが高いことが大きな課題であることが分かります。
東京都が主催する「雇用創出・安定化支援事業」では、求職者と人材不足企業のマッチングを無料で支援しています。企業担当者による求人内容のヒアリングから始まり、求人内容にあった人材のマッチングを無料で実施し、まずはお試し期間として「トライアル就労」を最大40日間受け入れることができます。
同事業では受入にかかるコストは無料、派遣期間は原則2か月、最長40日間(稼働日数)、派遣期間での見極めが可能(ミスマッチを減らせます)、 採用後の紹介手数料も無料(派遣期間が終了し、採用に至った場合)などのメリットがあり、人材確保した後の問題点を回避できるような仕組みとなっています。
以上のように、「雇用創出・安定化支援事業」は中小企業の採用にとって大きなメリットがあることが分かります。
ラミネータを販売している中小企業のA社はルート営業を行う人材を募集していました。しかし、ラミネータという一般にはなじみのない商品であることが原因で、思うように応募者を集めることができずに悩んでいました。
また、社内の人手が足りていない中で営業の社員が人事を兼任していることもあり、採用活動自体に時間をかけることができずにいました。そのような状況の中で、雇用創出・安定化支援事業のことを知ったとのことです。
同社のルート営業を行う人材として当初は営業経験がある人材の採用を計画していましたが、この事業ではトライアル就労があると知り、求職者の人柄を見ることができるのなら営業未経験でも採用を検討しようと考えたそうです。
その後、求職者であるSさんからの応募があり、トライアル就労としてA社で勤務をすることになりました。
担当者はトライアル就労中に同社の製品について積極的に学ぶSさんの姿勢が、周りの社員にも良い影響を与えたと語っています。Sさんは営業経験こそありませんでしたが、前職で商品の販促物としてチラシやアンケートを作っていた経験、そして、トライアル就労中の働きぶりから担当者は営業としても安心して一緒に仕事ができると感じたとの事です。
Sさんの希望もあり、同社はトライアル就労後にSさんを正社員として採用しました。入社後は希望通り営業として働いており、クライアント先から高い評価を得ているとの事です。また、前職の経験を活かして同社の製品の魅力を分かりやすく伝える、ということにも注力しており、本人もやりがいを感じているそうです。
雇用創出・安定化支援事業には様々なメリットがあります。A社の担当者によるとやはり実習期間を通して業務に対する適正をみることができたことが、一番のメリットだったそうです。
多くのメリットがあるこの事業を、新たな採用ルートとして利用してみてはいかがでしょうか?
監修者