
人材採用
2023.06.16
歯止めがかからない少子高齢化の中で、若年労働力人口(15~34歳)の減少が顕著です。若年労働力人口は、2007年には2,035万人だったものが、2017年で1,711万人となっており、10年間で約320万人減少しました。
出典 : 厚生労働省人材開発統括官 「若年者雇用対策の現状等について」
若手人材は企業の将来担う存在であるため、人材確保と育成は中長期的な視点で考えると非常に重要です。また、若手社員が増えることによる企業の若返りは、明るい社風をもたらし、社員の満足度向上にも寄与するのではないでしょうか。ところが、そんな若手人材の採用はますます難しくなっていくと考えられます。
企業の将来を担う若手人材ですが、彼らの大手志向の比率は依然、中小企業よりも高いままです。
下図の調査結果によると、新卒の大学生に対する求人倍率は300人未満の中小企業が最も高くなっています。知名度が大企業よりも低い中小企業にとって若手人材の採用は容易ではありません。
出展:株式会社リクルート 第39回 ワークス大卒求人倍率調査
このような背景から、「若手の採用がうまく進まない」といった課題や「大企業のように採用コストがかけられない」、「人事不足で採用に満足な時間がかけられない」といったリソース不足に起因する課題を抱えている中小企業は多いのではないでしょうか。我が国には、優れた技術をもっている中小企業が数多くありますので、このような中小企業における若手人材の確保は我が国にとても大きな意味があります。
「若者正社員チャレンジ事業」は29歳以下の若年層を対象にセミナーや企業内実習(インターンシップ)を通して優秀な正社員雇用を支援する事業。すでに多くの企業が事業に参加し若年層の採用を成功させています。
「若者正社員チャレンジ事業」参加メリット
① 企業内実習を通して求職者の適正確認が可能。ミスマッチの不安が減ります。
② 採用の費用負担ゼロ。さらに企業内実習期間に応じて最大12万円の「受入準備金」が支給されます。
③正社員として採用後6か月継続して雇用した場合、1人当たり10万円の「採用奨励金」が支給されます。
(※6か月後の定着率は80%以上。)
M&Aの支援を中心に、中小企業の経営をサポートする会計事務所であるA社は若手人材の採用を考えていた時に、この事業を知りました。しかし、当初はこの事業に対し、「業界未経験者でいいのか」「やる気のある若者と出会えるのか」といった不安を抱いていたとのことです。さらに、同社の業務内容は専門性が高く、複雑なこともあり、経験のある人材の中途採用を考えていたそうです。
そんな不安を抱えたまま、同社の担当者は合同企業説明会に参加しました。しかし、若手求職者の熱意を目の当たりにし、いい意味で期待を裏切ってくれたと感じたそうです。そして、説明会で特に可能性を感じたTさんが実習に参加することとなりました。
業務に必要な会計や経営の分野に関する知識がないTさんでしたが、向上心があり、実習中もどんどん吸収していくことに担当者は驚いたそうです。その貪欲さと素直さは将来頼れる人材に成長してくれると感じさせてくれ、業界未経験であるというキャリアのギャップを埋められる人材であると確信したそうです。
双方の希望から無事に正社員として採用されたTさんは、その後も意欲が衰えることなく積極的に仕事に取り組んでいるそうです。さらには営業に同行した際も社会人としてコミュニケーションスキルを発揮して顧客対応を行い、同社の人手不足の問題が解消されました。
専門性が高い同社が感じたこの事業の最大の魅力は、合同企業説明会、実習、入社して実務というフローがあることでした。合同説明会で事業内容を理解した上で実習へ進むことが、実習でのミスマッチも防ぎ、さらに入社後もスムーズに実務へ参加させることができたとの事です。
今後さらに採用が難しくなる若手人材ですが、企業の将来を担う彼らの獲得と育成は非常に重要です。専門性が高い職務内容であっても、若手人材は業界未経験であるというディスアドバンテージを補って余りあるポテンシャルがあります。
このように、「若者正社員チャレンジ事業」を通じて、若手人材採用することは中小企業にとって多くのメリットがあります。若手人材採用の方法のひとつとして、利用してみてはいかがでしょうか?
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