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2023.06.02
「持続可能な世界の実現」を目的に、SDGsと共に注目されているのがESGです。
興味はあるものの、ESG経営は取り組むべきなのか判断がつかない中小企業経営者も多いかもしれません。
商工組合中央金庫が実施した調査によりますと、ESGに興味があっても、情報収集が不足しているという中小企業が4割近くいるそうです。
出典:商工組合中央金庫『中小企業のESGへの取組状況に関する調査(2022年7月)』
そこで本記事では、ある中小企業のESG事例から、ESG経営の取り組み方のポイントをご紹介します。
ESG経営とは、
・Environment(環境)
・Social(社会)
・Governance(コーポレート・ガバナンス)
の3要素を取り入れた経営のことです。
もう少し具体的にいいますと、ESGの取組みには
・CO2排出量の削減
・雇用における男女平等
・クリーンな管理体制の構築
などがあります。
SDGsを連想させるかもしれませんね。
確かにESGはSDGsと切り離して考えることのできない概念ですが、どちらかというと投資家が企業を評価する際に用いる指標の役割をしています。
つまり、ESG評価の高い企業は投資機会が増え、逆に低い企業はそれが減るというわけです。
「うちは投資家とは無縁だから、ESG経営は必要ない」と考えるかもしれません。けれども、ESG経営にシフトすることによって多大な恩恵を受ける可能性があります。
実際に、ESG経営で成功しているある中小企業を以下にご紹介します。
ESG経営の成功事例:株式会社大川印刷(以下、大川印刷)
大川印刷は、従業員40名ほどの老舗の印刷会社です。
再生紙をはじめ「ノンVOCインキ」による印刷、そして、配送にはプラスチックコンテナーや電気自動車を使うなど、環境負荷を徹底的に抑えた「環境印刷」を展開しています。
こうした「本業を通した社会課題解決」への取組みは外部から評価され、同社の売上のおよそ1割を、環境印刷に興味を持つ顧客が占めるようになりました。同社の顧客には、ESGに対して高い関心を持つ外資系企業も含まれています。
・参考:『株式会社大川印刷|ソーシャルプリンティングカンパニーとして実現したい社会とは』
事例から分かるとおり、大川印刷はESG経営を通じて企業価値を上げました。
ESG経営を通じて同社が得たのは、評判や利益だけではありません。「ESG企業」というイメージによって環境に興味を持った人材が集まり、さらに環境に配慮したオリジナル商品を開発することで、他社との差別化にも成功しています。
「中小企業にとって、ESG経営による恩恵を無視することはできない」という意味がお分かりでしょう。
それでは、何から取組めばよいのかということですが、ESGの本質を理解したうえで「できることから始める」のが一番です。
大川印刷が実践してきたように、事業の延長線上で社会貢献につながることは何かを考える。そして、必要に応じて商品の開発や業務の見直しをする。これが、無理なく始められるESG経営の第一歩です。
SDGsと共に、ESGの波は急速に広がっています。毎日やることが多く、腰を落ち着けて取り組むことが難しいかもしれません。しかし、ESG経営に対する意識が世界規模で高まっていることを考慮すると、今のうちに時流に乗って企業価値を高め、現在から未来にかけて利益を上げることに力を注ぐのが賢明です。1日も早くESG経営に取組み、これからの時代を生き残る土台を作りましょう。
監修者