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2023-01-20

中小企業が脱炭素経営に取り組むメリットとは

脱炭素経営とは何か?

脱炭素経営とは、事業活動を通じて排出される二酸化炭素の排出量を削減し、経済成長と環境保全を両立させる経営手法のことを言います。これは地球温暖化対策として、世界的に求められる動きとなっており、中小企業にとっても無視できない課題となっています。

企業活動におけるCO2排出量を削減し、最終的にはゼロに近づけるという経営スタイルを取っていくことになりますが、これは、地球温暖化の防止という大きな目標に対する企業の責任を果たすだけでなく、経営における持続可能性を確保する手段ともなります。

脱炭素経営は、エネルギー効率の改善や再生可能エネルギーの導入など、企業のエネルギー使用を見直すことから始まります。また、製品設計や製造プロセスの見直し、エコフレンドリーな素材の使用などにより、製品自体の炭素足跡を削減することも含まれます。



脱炭素経営が中小企業にもたらすメリット

脱炭素経営に取り組むことで、中小企業には大きなメリットがいくつかあります。一つ目は、エネルギー効率の向上によるコスト削減です。エネルギーの消費を抑えるための投資は初期コストがかかりますが、長期的に見れば運用コストの削減につながります。二つ目は、ブランドイメージの向上です。環境に配慮した経営を行うことで、消費者からの評価が高まる可能性があります。

また、政府も中小企業の脱炭素経営を支援しています。例えば経済産業省は、エネルギー使用効率の向上を目指す中小企業向けに「エネルギー使用合理化等支援事業」を展開しています。この制度を活用すれば、エネルギー効率の改善に向けた設備投資の一部を補助金として受け取ることが可能です。


中小企業が脱炭素経営に取り組むべき理由

経済産業省の調査によれば、中小企業の約80%が「環境問題に取り組むことが企業価値を高める」と認識しています。しかし、現状では、その取り組みについて「具体的な計画がない」「取り組み方がわからない」という企業も少なくありません。こうした中で、脱炭素経営に取り組むことは、企業価値の向上だけでなく、経営の持続可能性を向上させる重要な手段となります。脱炭素経営への取り組みは、企業の長期的なビジョンを示すことができ、従業員や関係者のモチベーション向上にも寄与します。

また、エネルギー効率の改善は、長期的にはコスト削減につながります。初期投資は必要ですが、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの利用は、電力コストを大幅に削減することが可能です。



中小企業が脱炭素経営を進めるためのステップ

脱炭素経営を進めるためには、まず自社の現状を把握することが重要です。エネルギーの使用状況を詳しく分析し、どの部分でCO2排出が多いのか、どの部分がエネルギー効率が低いのかを明らかにすることから始めましょう。

次に、具体的な目標を設定します。可能な限り具体的な数値目標を設定し、それに向けてどのような施策を行うのかを計画します。目標設定は、全体の方向性を示すだけでなく、経営陣や従業員のモチベーション向上にも寄与します。

そして、実際の施策の実行に移ります。省エネ設備の導入、製造プロセスの改善、再生可能エネルギーの導入など、具体的な行動を起こします。この際、取り組みの進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて計画を見直すことも重要です。

最後に、取り組みの結果を公表します。これは、企業の環境への取り組みを外部に示す重要な手段であり、消費者や投資家からの信頼を得るためにも有効です。



脱炭素経営と企業価値の向上

脱炭素経営は企業価値の向上にも寄与します。ESG投資(Environmental, Social, and Governance:環境、社会、ガバナンスを考慮した投資)が増えている現代社会において、持続可能な経営を行う企業は投資家から高い評価を受けやすいです。

事実、東京商工リサーチによると、ESGへの取り組みが評価される企業の株価は上昇傾向にあるとの報告があります。これは、投資家が企業の環境への取り組みを評価し、その結果として企業価値が向上する傾向を示しています。

脱炭素経営に取り組むことで、企業は自社の持続可能性を向上させるだけでなく、投資家からの信頼を得て企業価値を向上させることができます。そのため、中小企業にとっても、脱炭素経営への取り組みは重要な経営戦略となり得ます。


まとめ

脱炭素経営は中小企業にとっても無視できない動きとなっています。初期投資は必要ですが、エネルギー効率の改善によるコスト削減や企業イメージの向上、そして環境に対する貢献といったメリットがあります。また、政府の支援制度を活用することで、取り組みやすくなっています。自社の経営に脱炭素の視点を取り入れて、持続可能な経営を目指しましょう。

脱炭素経営は、中小企業にとって、社会的な責任を果たす手段であり、企業価値を向上させる戦略でもあります。政府や地方自治体からの支援を活用し、エネルギー効率を改善し、再生可能エネルギーの導入を進めることで、中小企業でも脱炭素経営は十分に可能です。未来の世代のためにも、今こそ中小企業が脱炭素経営に取り組む時です。


中小企業ソリューションナビ運営事務局

監修者

中小企業ソリューションナビ運営事務局