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2023.06.02
新型コロナウイルスの感染拡大は、社会全体に深刻な影響を及ぼしました。この数年間で「ピンチをチャンスに」を合言葉に、多くの中小企業がこの危機を乗り越えるための様々な戦略をとってきました。
経済産業省が公表した2022年度の「中小企業白書」によると、新型コロナウイルスの影響で営業自粛や休業を余儀なくされ、大きな打撃を受けた中小企業は少なくありませんでした。その結果、これまでのビジネスモデルや戦略を見直し、新たな取り組みを進めている企業が増えてきたとも言えます。
それでは、具体的に多くの中小企業がどのような戦略をとってこの危機を乗り越えてきたのでしょうか。以下に、代表的なものをいくつかご紹介します。
1. デジタル化とオンライン化の推進
新型コロナウイルスの感染拡大は、企業にデジタル化とオンライン化を推進する絶好の機会を提供したと言えます。例えば、ECサイトの立ち上げや、オンラインでの商談、テレワークの導入などが挙げられます。これらは、感染リスクを低減するだけでなく、新たな顧客層の開拓や業務効率化にも寄与してきました。
2. ローカルとグローバルの融合
コロナ禍による行動制限等の影響で地域に根ざした活動が見直される一方、グローバルな視点を持ち販路拡大に成功した事例も多くあります。地元の顧客への販売に加え、海外の顧客にもアプローチすることで、ビジネスチャンスを広げていくことに成功しています。
3. 事業の多角化
既存の事業だけに依存せず、このコロナ渦の期間に新たな事業領域を開拓することで生き残りを成し遂げた中小企業も多くあります。新たな市場の開拓や、既存の顧客に対する新たなサービス提供などが挙げられますが、補助金等をうまく活用することも重要なポイントとなります。
4. コミュニティ形成と顧客とのコミュニケーション強化
企業が生き残るためには、顧客との深い関係性の構築が重要です。SNSを活用した情報発信や、オンライン上でのコミュニティ形成を通じて、顧客との強いつながりを構築することで逆境を乗り越えた企業もあります。これにより、顧客のニーズを直接把握して新たなビジネスに反映することにも成功しています。
5. 危機管理とリスク対策の強化
新型コロナウイルスの影響は、企業にとって未曾有の危機であり、その危機管理の重要性を改めて認識させました。事業継続計画(BCP)の策定や、各種リスク対策の見直し、経営資源の有効活用など、この期間に危機に備える体制を改めて整えたという企業も多くあります。
以上のように、新型コロナウイルスによる様々な環境変化を受けてきた中小企業が生き残るためには、既存のビジネスモデルや戦略の見直し、新たな取り組みの推進が求められてきました。しかし、これらの取り組みには多大な労力とコストがかかることも事実です。
そこで注目したいのが、国や地方自治体が提供する各種の支援策です。経済産業省や商工会議所などが提供する補助金や低利の融資制度を活用することで、新たな取り組みへの投資負担を軽減することが可能です。
しかし、これらの支援策を活用するためには、その存在を知り、適切に申請することが必要です。また、そのためには、ビジネスプランの策定や、具体的な取り組みの明確化が求められます。
このような困難な時期だからこそ、中小企業経営者は経営の視点を広げ、新たな取り組みを進める勇気を持つことが求められます。そして、その取り組みを通じて、ピンチをチャンスに変え、自社の成長と社会への貢献を実現することが期待されています。
最後に、新型コロナウイルスの影響を乗り越え、さらなる飛躍を成しえた中小企業経営者に共通して備わっている重要な視点を再確認しましょう。
◆リーダーシップ
危機的状況下では、経営者のリーダーシップが試されます。組織全体をリードし、スタッフのモチベーションを保つためには、経営者自身が前向きな姿勢を持ち続けることが重要です。また、経営者の果敢な決断と迅速な行動が、企業のピンチをチャンスに変える鍵となります。
◆持続可能性への取り組み
新型コロナウイルスにより、我々は企業が社会と密接に関わっているということを改めて認識させられました。そのため、企業の取り組みは単なる利益追求だけでなく、社会的な価値の創造につながるべきと言えます。自社の成長と社会の発展を意識し、常に先を見通せる視点が重要となります。
危機は必ずしも否定的なものではありません。逆に、危機を乗り越えることで、企業は新たな成長を遂げ、社会への貢献を高めることができます。そのためには、自社のビジネスを深く理解し、様々な視点から戦略を考えることが重要です。
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