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2022-12-19

事業継承問題を抱える中小企業が知っておきたい後継者を探す3つの方法

年々必要性が高まっていく「事業承継」

事業継承の課題を身近に感じている中小企業の経営者も多いのではないでしょうか。

中小企業庁によりますと、2020年に廃業した中小企業の数は49,698件。廃業を決めた事業者の中で、黒字にも関わらず廃業したのは、全体のおよそ6割でした。さらに、廃業を決めたと回答した中小企業のおよそ3割は、後継者が決まらないことを理由にあげています。


出典:中小企業庁『財務サポート 「事業承継」』


事業継承に関する課題を解決するには、後継者探しを幅広くかつ柔軟に行うことがポイントです。本記事では、後継者を見つける3つの方法とその特徴についてご紹介します。


親族の中から継承者を選ぶ

親族の中から後継ぎを選ぶ親族内継承は、事業継承の方法の中でも最も多い方法です。帝国データバンクが公開している『全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)』によりますと、親族内継承は全体の34%でした。

子供など身内が後を継いでくれることは、社内外からの抵抗が少ないというメリットがあります。経営者の中には、自分の子供が後を継いでくれることに対して、精神的な安心感を得る人もいるでしょう。

ただし、中小企業の後継者不足が深刻な現状からもわかるとおり、親族の中から後継者候補を見つけることは、難しいと言わざるを得ません(前出の帝国データバンクの調査では、親族内継承の割合はトップだったものの、前年度の38%から急落しています)。

反対に、後継者候補が複数いる場合は、争いが起こる可能性があります。また、身内ということもあり、個人的な感情が入ることで、後継者に対して経営者の資質があると過信したり、感情的に衝突したりすることも考えられます。

⇒参考:帝国データバンク『特別企画:全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)』


知り合いの中から継承者を選ぶ

身内の中に良い人材がいない場合は、事業の後継者候補を知り合いの中から選ぶという方法もあります。特に役員または社員の中から後継者を選ぶ場合は、事業内容や企業文化に馴染みがある人物が後を継いでくれるため、経営のノウハウを一から教える手間が省けます。

その一方で、「なぜ親族から後継者を出さないのか」というふうに、周囲から理解を得られないケースもあります。また、後継者候補が、会社の株式を買い取るために必要な資金を調達できないケースも少なくありません。


第三者の中から継承者を選ぶ

後継者不足の問題を解消するため、第三者の中から後継者候補を探す民間の支援サービスも数多く登場しています。

中でも良く知られている方法が、M&Aです。M&A(Mergers and Acquisitions)とは簡単に言うと、企業の合併・買収のことです。国内で行われているM&Aの多くは株式譲渡または事業譲渡で、譲渡後は親会社(買い手)・子会社(売り手)の関係になることが多いようです。

M&Aによる事業継承では、親会社が会社の事業や従業員をそのまま受け継ぐうえ、親会社のリソースにより経営が安定する傾向にあります。しかし、第三者がトップとなることに嫌悪感を示す社員がいるなど、経営体制が根本からぐらつくリスクもあります。




まとめ

後継者候補の探し方について、3つの方法をご紹介しました。どの方法も一長一短ありますので、現状を考慮しながら最適な方法を選ぶと良いでしょう。

中小企業庁では、「中小企業再生支援・事業承継総合支援事業」の一環として、各都道府県に「事業承継・引継ぎ支援センター」を置き、事業継承に関する支援を積極的に展開しています。

同センターでは、事業継承に関する相談を幅広く受け付けていますので、1人で解決するのが難しいという場合は、利用を検討するとよいでしょう。


⇒「事業承継・引継ぎ支援センター」の詳細はこちらをご覧ください。

中小企業ソリューションナビ運営事務局

監修者

中小企業ソリューションナビ運営事務局